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日本数学会

2014年度秋季総合分科会・数学連携ワークショップ

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数学連携ワークショップ ---様々な世界に広がる数理

日時:2014年9月26日(金)9:30--12:00
場所:広島大学総合科学部K棟K211教室(秋季総合分科会第VI会場)
主催:文部科学省/統計数理研究所「数学協働プログラム」
共催:日本数学会

プログラム

9:30-9:40趣旨説明
9:40-10:20 栁原宏和(広島大学大学院理学研究科准教授)
 「変化係数モデルを用いた予測モデルの構築とその応用」
概要:
 重回帰モデルは,目的となる変数 (目的変数) の平均構造を複数の他の変数 (説明変数) の線形結合によって記述するモデルであり,目的変数の値を説明変数により予測したいときによく用いられる.重回帰モデルにおいて,線形結合の係数である回帰係数は,対応する説明変数の目的変数への影響度合いを表しており,それらはすべてのデータにおいて一定である.
 しかしながら実際のデータでは,回帰係数が位置や時間などによって変化していると考えられる場合がある.例えば, 住宅価格を目的変数とし,最寄駅までの距離を説明変数とした場合,一般的には最寄駅から近い住宅の方が価格は高くなると考えられるが,田園調布や芦屋などの高級住宅地と呼ばれる地域ではそのような関係が逆になっている場合が考えられる.そのため,すべての住宅において,同一の係数により影響を表現することには無理があると考える.このような問題は,ダミー変数を多く用意することで回避することもできると考えられるが,どのようなダミー変数をいくら用意すればよいかという問題が残る.その他として,位置や時間によって回帰係数の大きさが変化する重回帰モデルを用いるという解決法がある.このモデルが変化係数モデルである.
 本発表では,この変化係数モデルを用いた予測モデルの構築法とその応用例として土地価格に関する解析結果を紹介する.
10:20-11:00 水藤 寛(岡山大学大学院環境生命科学研究科教授)
 「数理科学と臨床医学の協働戦略」
概要:
 この講演では,我々のCREST研究チームにおいて数理科学者と臨床医が協働を続けている,あるいは模索している営みを紹介し,双方の分野の様々な違いを乗り換えて意味のある結果に結びつけていくための戦略について述べたい.
 臨床医療診断は伝統的に医師の経験を最も重視してきた.近年は,経験の蓄積を統計学的な裏付けの元に体系化するEvidence based medicine ということが言われているが,経験の蓄積が重要であることには変わりがない.そこに数理科学的な見方やモデルを入れるというのは,病態の進行に関するメカニズムを説明する論理を導入し,広く理解が可能な体系とするということである.また,熟練医は卓越した技能を持っているが,それはなかなか後輩に一言で伝えられるものではない.そのような技能を論理化・言語化することができれば,それを後輩に伝えていくことが容易になる.
 例として,個人差の大きい大動脈形状の特徴付けと病態の関連付け,及び肝臓癌の診断における熟練医の判断論理の抽出を取り上げる.このような試みは,基本的に経験に基づく臨床医の思考プロセスに新たな判断論理を補充・補強するものであり,それによって臨床医の判断プロセスがより信頼性が高く幅広いものになることことが期待されるのである.
11:00-11:10休憩
11:10-11:50 高橋正樹(NHK放送技術研究所 ハイブリッド放送システム研究部)
 「映像解析によるオブジェクト動作認識と放送への応用」
概要:
 映像中から特定物体(オブジェクト)を検出し,その画像領域を高速かつ頑健に追跡するためには,数学の理論が必要となる.例えばスポーツ映像解析において,選手やボールの領域を追跡する場合,各オブジェクトの移動軌道予測に基づく効率的な処理が求められる.また映像中の人物の動作内容理解など,各種認識処理においても数学の知識が不可欠である.スポーツ中継での例を軸に,数学が番組制作の現場でも活用されていることを示す.
11:50-12:00討論

講演者の略歴