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日本数学会

2017年度年会

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2017年度年会---市民講演会

日時
3月26日(日) 14:00〜16:30
会場
首都大学東京 南大沢キャンパス 講堂大ホール
プログラム
14:00--14:10挨拶 小谷元子(日本数学会理事長・東北大学大学院理学研究科)
14:10--15:10講演1 石井志保子(東京女子大学現代教養学部・東京大学名誉教授)
「ジョン・フォーブズ・ナッシュと弧空間のお話」
講演概要 ゲーム理論で有名なジョン・フォーブズ・ナッシュを経済学者と思っておられる人は多いのではないでしょうか.確かに彼はノーベル経済学賞を受賞しています.でもゲーム理論は,ナッシュのほんの一面で,もっともっと偉大な数学の業績があるのです.数学の最高の賞のひとつであるフィールズ賞を受賞しても不思議はなかったのですが,フィールズ賞の「適齢期」に病気に冒されて,その後永い闘病生活を送ることになってしまいました.一昨年ようやく数学におけるもうひとつの最高の賞であるアーベル賞を受賞することによってその真価が世界に広く認められました.
本講演では,ナッシュの思い入れの強かったひとつの短い論文に焦点を当て,その論文で提起した「ナッシュ問題」を中心に,その問題が解決に至るまでの顛末を,個人的な視点で紹介し,さらにナッシュ問題の代数幾何学における意味についてお話します.
15:30--16:30講演2 小林正典(首都大学東京大学院理工学研究科)
「リアルな代数幾何 〜メビウスの帯からトロピカル曲線まで〜」
講演概要 幾何学の中でも,円や放物線のように方程式で定まる図形を研究するのが代数幾何です.身の回りの図形は実数の座標で表すのが自然ですが,図形を式に対応させて考えるときはいったん複素数の座標に拡張するのが普通です.なぜなら「代数学の基本定理」のおかげで綺麗に議論できるからです.
しかし実数の世界にも「実代数幾何」があります.テープを一回ひねってから輪にしたものを「メビウスの帯」と呼びます.その中央を切ると一本の大きな輪になります.ではいくつかつなげてから切るとどうなるでしょうか.ここに「史上最悪の難問」とも呼ばれる入試問題の背景が隠れています.問題解決にあたって,代数幾何だけでなく数学の基本的な考え方がいくつか役立ちます.
さらに実数でも代数学の基本定理が成り立つ体系があり,対応して今世紀に登場したのが「トロピカル(熱帯)幾何」です.特にトロピカル曲線について説明しますが,離散事象システムへの応用にも触れる予定です.
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